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「お。衣野 慎吾か?」
エレベーターを2階で降ると目に入った職員室に向かう最中、背後から声を掛けられた。
いかにも『衣野 慎吾』は俺のフルネームなので振り向くと、真後ろに30歳代前半程の顔が濃い男性が立っていた。
俺より少し背が低いラガーマン系の体格で、黒トレーナーにベージュのチノパンにサンダル履きというラフな格好をしている。
「あ、はい。衣野です」
「おー、来たな衣野ー!担任の中須だ!」
「あ、そうなんですか?」
「まあ取り敢えず職員室入るか!足元気ぃ付けろな!」
無駄にハキハキしている担任らしき教師に誘導され、彼の後を着いて職員室の中へ入った。
用意してくれた丸椅子に座って松葉杖を左腕で抱えると、左手に生徒手帳を与えられた。
教材は重くて量も多いので、もう教室の俺の机の中に時間割表と一緒に入れてあるという。
俺の籍がある教室は4階にある1年2組、出席番号は1番、座席は出席番号順なので最前列の窓際。
バイク通学禁止、バイトは許可制、身嗜みに関しては染髪やアクセサリー禁止、等の基本的な説明も一通り受けた。
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