プロレスとの出会い

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そんなプロレスごっこには、それぞれ役割分担がある。 ヒーロー役が居れば、当然悪役もいる。 例えば、アントニオ猪木とアブドーラ・ザ・ブッチャーの組み合わせみたく。 だいたい主導権を握る強い人が好きな人、つまりヒーローを選び、 普段からおとなしい人は、お前はブッチャーをやれ!と言われる。 で、お互いに技を掛け合った後、 最後にアントニオ猪木が決め技で勝つと言うパターン。 光雄はイジメられっ子だったため、 いつも悪役ばかり強要されていた。 しかし、プロレスそのものを良く理解してない光雄は、 悪役すら演じることもままならなかった。 技も知らないために一方的に技をかけられて、 簡単に負けてしまう。 それでは勝つ方もおもしろくない。 さながら、光雄はプロレスの技の実験台にされつつあった。 本気でやっていないとは言え、関節技なんかはシャレにならないくらい痛い時もあった。 そんなわけで、光雄は休み時間になるのが怖かったし、 プロレス、が嫌いになっていた。 まだ本当のプロレスも知らないうちに。
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