知らない間に、大きくなる光雄

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トラックで運ぶものは決まっていた。 サイディングと呼ばれる、家などに使う外壁。 サーフボードくらいの大きさで、二枚が重なって一組にパッケージされている。 重さは40~50キロ近くある。 倉庫から積む時はフォークリフトで積むが、 新築現場などに行って降ろす時は手で降ろさなくてはいけない。 数にしたら、だいたい50~60枚くらいある。 トラックから直ぐ下に降ろすならまだ簡単だが、 場所によってはトラックが止められない現場も多く、 少し離れた所に駐車して運んだ。 時間にしたら1時間はかかる。 外壁はコンクリートのようなもので出来ている薄いものだから、 落としたりすると簡単に割れてしまう。 慎重に運ばないといけない。 まだ、体力には自信があったからなんとかこなすことが出来た。 たしかに、ドライバー仲間はみんな体格が良かった。 光雄もドライバーを続けることによって、さらに筋肉が付いていったようだ。 約一年間仕事を続けた。 すると、不幸なことに不景気で会社は仕事が少なくなり、 歩合制だったためにスタッフがみんな離れていった。 光雄も例外ではなく、仕事が無いのではお金を得ることもできないと、 次の仕事を探す事にした。
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