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日曜日。
楽しみにしてたデートをドタキャンされた私は、暇だったので友達の結香と赤也とブン太先輩に遊んでもらっていた。
そんな時。
「……ねぇ、あれって仁王先輩じゃない?」
指が示す方向を見ると、視界に銀髪が映る。
仁王先輩だ。
「ゲゲッ……女…モゴッ」
何かを言い掛けた赤也の口を結香がふさぎ、なぜか私の目はブン太先輩に隠された。
「………何ですか?」
「いやぁ何となく。」
「離してくださいっ」
そう言ってブン太先輩の手を振り切り、みんなの視線の先に目を向けると。
「―――――っ……」
女連れ。
すごく可愛い女の子を連れて楽しそうに笑ってる。
(あー……なんだろ、この感じ。モヤモヤする。)
そうしていると、仁王先輩がこちらに気付いたようで、向かってくる。
だが私は赤也の後ろに隠れて出てこない。
「赤也にブン太に結香じゃなか?こんな所で…………っっ…朔夜!?」
見つかった!!
私は赤也にしがみつく。
すると皮を掴んでしまったようで、いてぇ、と赤也が声を洩らす。
「あ、ごめん。」
そう言って離れる。
でもそうすると今度は顔が丸見えなので、ブン太先輩に隠れる。
「……何で、こんなとこに女連れでいるんスか。」
赤也が言う。
その声には僅かに怒気が含まれていた。
すると仁王先輩も負けじと言い返す。
「………そう言うお前さんらこそ、何で朔夜といてるんじゃ?」
「彼女騙して違う女と遊んでる人に答える必要ないと思うんスけど?」
赤也がそうして仁王先輩をにらみつけている間に、私はこの場所に居たくなくて走りだす。
「あ、おいっ」
慌てて丸井と結香が追い掛けるが、切原だけはまだそこにいた。
切原は仁王に近づくと、
「そんな事してるって事は……朔夜、奪っても良いんスよね?」
という言葉を残して去っていった。
「っ………朔夜…っ」
残された仁王はそう独りごちた。
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