プロローグ

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昔、イタリアでの話。 ある貧乏な若い役者が、無言劇の道化役となった。高賃金に浮かれた若者だったが、高賃金には訳があった。 金持ちの道楽…。 若者は、白粉を塗られ、紅を塗られ、ダボダボの服を着せられ、喉を潰され、顔を縫って笑顔に固定され、両手両足には糸……… 完全な操り人形となった若者は、死ぬまで舞台で踊り続けたと言う。 その姿を見て笑う人々… ピエロは 痛いのに、叫ぶこともできず。 泣いているのに、笑顔しかできない顔で。 踊り続けた。 操られるままに… それが、ピエロの始まり。 それが、本来の、ピエロ……
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