ピエロランド

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後ろからいきなり声がして、驚いた亜矢はバランスを崩して少しよろけた。 「―ッ、びっくりしたぁ!!」 慌てて声の方へ振り向くと、 おそらく店の主人であろうなんとも味のある老人がそこにはいた。 「そのピエロが気に入ったのなら、安くしといてあげるよ。」 「えっ、いいんですか?」 亜矢はいきなりのことに戸惑いながらも、不思議な魅力を放つピエロに惹かれ、ピエロが欲しくなっている自分に気が付いた。 「そのピエロはねぇ、ずぅっと前からそこで買い手が現れるのを待ってるんだけど、なかなか現れなくてねぇ…。 可愛がってくれる人がいるなら買ってもらった方がそいつも喜ぶってもんさね。」 「そうなんですか…」 亜矢は自分でも不思議だった。別に特別可愛いわけでもなかったが、どうしてもこのピエロがほしくなっていたのだ。 結局、実へのプレゼントのサッカーボールと、格安でのピエロを購入することにした。 (実喜んでくれるかなぁ…) 帰る途中 暖かみの感じられない独特な笑みを浮かべたそのピエロが、 じっと亜矢を見つめていたことに亜矢は気付く由もない…
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