ガタラシンとボトローコトリ

5/5
前へ
/48ページ
次へ
ワァアワア。 ご、ご、ごごだら、ごうがん。 ガタラシン。 もっと、スナオになりたかったなァ。 ごごだら、ごうがん。 ガタラシン。 もっと、 おまえのカラダをアイシていたかったなァ。ダレかをねたンだり、ダレかをさげスンだり、 オメェのココロのツチさァ固めて、ダレさも近付けッこなヤマ、こさえちまッてたコト、はやク気ィ付けてたらなァ。 ごごたら、ごう。 ヤマむこうから聞こえる、でっけぇ爆音にビックらこィた山里の衆どもが慌てて外サ出て見たらば、 なんとゅうことだァ、あのでっけぇイワ山、アトカタもナクなってィるじゃァねイか。 ごごたら、ご ごごたら、 ごう、ごう。 ざ、 ざざざ、 ざざ、ざば、ごう、 ざざざば、ごうごうごうごう。 やがて、崩れた岩山のむこうから、せきトめられてィたあの川が、どうどうと、よみがえッてキタ。 わぁわぁ、水だァ、川だァ。ッて、みんな喜んだァ。 川は、涙だったア。 ガタラシンは、泣イたんだ。 初めて泣いて、泣いて、泣いて、ツイに、ジブンのカラダ、ゼーンブ崩してしまッたんだア。 川ッコは、前よりもッと立ッ派な川さなって、ふもとに帰ッてきたんだ。 ソレからスグに、ボトローコトリのヤマさまも、またケモノたちにあふれた、よィヤマに戻ッた。 小さく残ッたイワヤマのアトには、もゥ、鬼は現われナクなッたって話だァ。 …ン? アノ子猿ッコかァ。 ボトローコトリにゼェンブ話を聞ィて、 村へ戻ッたアト、シッカリ生きていッたとさァ。 …さァ。 もゥオヤスミだァ。 明かりッコ消シておくれ。 バアチャンは目ッコ見ェねぇからなァ。 あンまりオソクまでおきてぇット、ガタラシンが見てて怒るからなァ。 ん? そうさァ、ガタラシンは、死んじゃアねェんだァ。 ちっさィ石っコロさァなッて、 どこかで、 酒でも飲んでるのさァ。 ――――――――――――――          おわり
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加