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小さいころに、 宝捜しをした。 今はもう さびれた かつては輝いて見えた あの 遊具もまばらな ただ広いだけの公園で、 いつも 二人で、 手づかみの紙の裏に描き合った、隠し物の 地図を、 懐かしく見つけたのだ。 思いでは、 まるで 「どうして、」 美しく、 やがて君は もう 今 行方も知らぬまま 「どうして、宝の隠し場所には、」 さびた ぶらんこは、 靴を乗せたらすこし弱音を上げるほどだった。 見上げた空は 少年時代よりもずっと遠く 失われたあの場所は 宝の地図になった。 君の最後の地図の場所には、 きみが好きだった人形があった。 「どうして、宝の隠し場所には、いつもぺけを打つの?」 美しき思いでは まるで宝が輝いて 「きっと、二度と」 失われたしるしに、 小さくおわりを打って きみを思うまま 「とりもどすことが できないものだから」 ただ美しく それでもなお なくしたまま 宝はいつまでも美しく それは 向日葵のつぶてに似て 紅葉の雨に似て 雪達磨の夢に似て 春のさくらのようか そうして、 そおっと また 宝を 帰し 幼い宝島を背に 誰もが 在りし日を 宝と呼ぶ。 ――――――――――――――           おわり
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