曲がり角のミクロン

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限り無く巨大な物を細分化すると、やはりもれなく矮小の原理に覗きあたった。 過行するあらゆる事象にわたしたちを求めるなら、あまりに そういう矮小の極みに該当する。 存在する理由。生きたあかし。 例えば我々をカミの見た夢だと喩えるなら 森羅万象に還る死こそ果てにして目覚めと呼べるのかもしれない。 うつつの、 麗しい暮れにながす涙も、 やがて雨粒に溶けて消えてゆくのだろう。 あらゆるわたしが夢ならば、 あらゆる想いが 星の見る夢なら。 肉体の限られた尽生も、 目覚めた時に水泡に帰すと泣いて 歌った歌は、 目指した道は、 笑った数は、 小さくとも 夢は 変化を臨むものが見るのだから やがて八百億の繋がりをへて、わずかな世界の変質を呼び覚ますのか。 さすれば、 苦しみ生きるわずかな夢はあまりに小さくともああ、まさに、 曲がり角の、矮小たる、 ほこらしきミクロン 価値などいらず、 意味はしらず されど、 ただ誇らしく、 宇宙は、今日も わたしを夢みている。 ――――――――――――――           おわり
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