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それからと言ゥもの、ガタラシンは夜さァロクに寝られなクなッたんだ。
おっかァ、おっとォ、さびしいよォ、さびしいよォウて、子猿が無くもんだからなァ。
昼間はァ涙っこひとツ流さねぇクセに、夜になるとわんわんわァと滝みてえに泣きッつるもンで、ガタラシンはそのうち、こン猿コ干からびちまゥんじゃねえかァって思ってた。
だが、スグに夜は静かになッたんだ。
なにしろ、山里じャァ枯れヤマッて言われるほど、なァんもないイワヤマだァ、食べるモンはなァんもなかッたからなァ。
三日もたつころにゃァ、泣くチカラもなくなったんだァ。
…ガタラシン、オメェ、そン時初めて気付いたナァ。
初めて、気付いたナァ。
オメェ、カミサマだ。何百ネンも生きて、その三ッ日間、なンでかわかンねェくらいにズット長かッたなァ。
オメェ、
自分が、
淋しかッたコトに、
初めて、
気付いたナァ。
ホシがきれいェな、その夜のコトだったなァ。
…ボトローコトリは、ズゥン、ズゥンッて、なツかシィ足オトォ聞いてトびおきた。
…ひさしぶりだなァ、ガタラシン。
ひさしぶりだなァ。ボトローコトリ。
フタリの兄弟は、でっけぇ顔とちっこい顔ォ合ワせたンだ。
ガタラシンの手ンひらンなかにァ、
あのコッ子さァ、やさしく、ッつまれていた。
おやごンとこォ、帰シてやッてくれやなァ。
そンだけ言ッて、ガタラシンは、
またズゥン、ズゥン、ッて、ゆっくり、霧ン中消えてッた。
ボトローコトリは、
あア、
ッとだけ、ゆッたんだ。
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