始まり

4/13
前へ
/202ページ
次へ
3人は瓦礫が散らばる道をひたすら走り続けた。 走っている途中でも 孝の頭の中には さっき見た志野の姿しか無かった。 (なんで!なんで!志野は確かに俺の目の前で…死んだはずなのに…なんで!なんで!志野の腕は暖かかったんだよ!生きてるんじゃ無いのか? もし…志野が生きていたら…またあの時間が戻って来る…!) 気が付けば孝は足を止めていた。 それに気付き智哉と賢人も足を止めた。 賢人「ハァ…ハァ…ハァ… おい!急ぐぞ!」 孝は2人に背を向けた。 「やっぱ駄目だ… 俺は…志野を…志野を…見捨てるなんて出来やしない!!」 智哉は流石にキレた! 智哉「アホか!! お前何回言うたら解んねん!! 志野は死んだんやろ! それはお前が一番知っとるんちゃうんかい!」 智哉の言葉が痛かった。 確かに志野は死んだ。 孝の目の前で…。 孝の手の中で…。 孝の変わりに死んだんだ…。 「志野の手…暖かかった…志野は生きてる! あいつは死んで無かったんだよ!」 孝は来た道を全力疾走で戻って行く。 賢人「アホ!戻って来い!お前が連れて行かれたら…」 賢人の声はそこまでしか聞き取れ無かった ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…! 流石に喉の奥が渇いてきた、あれからずっと走り続けている やっとの思いで、 志野が居る場所迄戻って来た。 志野「孝…戻って来てくれた…の?」 弱々しいが確かに志野の声… 孝は安心感を覚えていた。 志野の下半身が瓦礫の下に埋まってしまっている…。 「だ、大丈夫か? 痛いよな…今出してやるからな! 俺は…お前を二回も死なせ無い!」 志野「孝…あ、ありがとう…」 微かに志野が笑顔を見せた。 孝は一心不乱に志野の上の瓦礫を退かして行く。 「もう少し!もう少しで!」 その時だ…。 孝を激しい偏頭痛が襲った。 「く、くそ…何でこんな時に! 邪魔するな! 引っ込め!引っ込めよぉぉ!!!」 志野「孝…? どうしたの? 返事をして…!!!」 「生憎だがなアイツには寝てもらったぜ こうでもしねぇ~とアイツ聞かねぇ~しな」 シノ「だ、誰……? あなた?孝じゃ無い!!」 「お前にも同じ質問してやるよ お前は誰だよ?」 孝では無い孝はシノの額に銃口を向けて鉛玉を撃ち込んだ。 志野「モヴ…すゴ…じダッタのニ!!!」
/202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

237人が本棚に入れています
本棚に追加