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――prologue――
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桜並木の道を一台のバスが通りすぎる。
そのバスの真ん中辺りに腰を下ろしている1人の少年は外の散る桜を眺めていた。
乗員はその少年と運転手だけ。
バスと反対方向に歩いている中学生たちを見て過去を思い出す。
『お前の名前って変な名前だよな!』
『琴なんて字使って女みてぇ♪』
『ケンカも弱いし本当は女なんじゃねぇか?』
そう言われてずっと過ごしてきた。
否定しても聞き入れてもらえないからただ黙って耐えていた。
どうせケンカしても勝てないしだったら黙って聞いてる方が楽だから。
そしてやっと卒業できたものの、頭が悪いせいか志望校には通らず落ちてしまった。
で、しばらく浪人生活を過ごすことを決意したが父が入学願書をどこからか拾ってきた。
提出すると書類審査だけで簡単に合格できた。
そして入学式に出席するため今その学校に向かっているのである。
これから行く学校には知り合いなんて全くいない。
霧夕 真琴(キリユウ マコト)の新たな生活が始まるんだ。
期待に胸を弾ませて進む道はこれからの波乱万丈の生活を少しも思い浮かばせなかった。
俺がこれから過ごす学校は…
「私立水面先(ミナモサキ)学園」―…
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