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「はーい!皆さん、お疲れ様でした。今日泊まる宿に着いたので順番に降りて、自分の荷物を下で受けとって下さい」
『…はーい』
元気な先生の声とは全く逆の疲れ切った声を上げる生徒。
俺もその中の一人だったりする。
ただ違うのは疲れた原因がみんなのようにバスにずっと乗っていた事じゃなくて、唯の事でずっと悩みっぱなしだったからだ。
「はぁー…何で俺が唯の事で悩まなきゃなんねーんだよ…」
バスから出された自分の荷物を持ちながらうなだれる。心なしか乗る前よりも荷物が重く感じた。
「じゃあ列を崩さないように、順番に宿に向かって下さい」
それから先生の指示に従って宿泊先の宿へと足を運んだ。迎え入れる宿の仲居さんらしき人達にあいさつをして、部屋に案内される。
「あぁーっ…疲れた!」
部屋に入った瞬間荷物をほっぽりだして、畳へと倒れ込む俺。
「おっつかれ、拓哉!」
「ぐぇっ!!」
「…なにへばってんだよ!修学旅行は始まったばっかだぜ!?」
「うっぷっ!?」
そう言いながら倒れ込んだ俺の上へと容赦なく乗っかる匠と賢斗。
結構な勢いで乗ってきやがって!!胃の中のもんが戻って来そうになったじゃねーかよ。
けど俺も案外単純にできてるらしい。この2人の行動だけで、さっきまでガタ落ちだったテンションも急上昇し始めた。
「おい、今日は寝ないよな?」
「あったり前だろ!!」
「拓哉一番最初に寝そうだよな」
「なんだとっ!匠こそ夜トイレ一人で行けんのかよー?」
「はっ!行けるに決まってんだろ、バカ」
そんな調子で唯の事で悩んでいたのもすっかり忘れて、俺は今日の夜、一番最初に寝た奴の罰ゲームとか考えてたりしていた。
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