少年

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「はーい。今日は道徳の勉強をします。では、皆さんが最近楽しかったことを教えて下さいー!」 クラスがざわめき、隣の人と喋ったりしていた。みんなが楽しそうにしている中、一人の男子が手を挙げた。 「先生。“楽しい”って何ですか?」 俺はまたかと思いつつ、真面目な顔で手を挙げて聞いている唯を見ていた。 「唯君。ふざけた質問はしちゃダメよ?そんなこと聞かなくても分かるでしょ?」 「分かりません。だから聞いてるんです。“楽しい”って何ですか?」 先生はため息をついて呆れた表情で怒っていた。当たり前だ。毎回のように聞いているのだから。 俺も、よく飽きないなと思っていた。だから、からかったんだ。 「唯くーん?楽しいって言うのはな、頭じゃなくて心で感じることだから、ガリ勉君には分からないんじゃねーの?なんなら俺が教えてやろっかぁ~?」 アハハハッとクラスの奴らが笑い、先生は怒っていた。なんだよ、唯の質問から助けてやったんじゃんか。…でも、唯の奴は顔色一つ変えずに教科書を見ていた。 つまんねーの。 キーンコーンカーンコーン… チャイムがなって休み時間。唯の反応がつまんなかったから、もう一回からかってやりたくなり、友達二人と俺、三人で唯の所に行った。
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