第一作

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それは雪の降り積もる、寒い冬のこと…… ボクは両親に捨てられた。 当時5歳の少年に行く宛はなく、ひたすら町を彷徨い続けた。やがて両手はかじかみ、体は小刻みに震え、幼い少年の体力を徐々に奪っていく。 そして倒れた。 地面の冷たさが直に伝わってくる。体が降り続く雪で覆われ、少年を柔らかく包み込む。冷たいはずなのに、母に抱かれている様なぬくもりを感じる。 少年はそのまま眠りについてしまった。 …ザッザッザッ! 何時間経っただろうか、靴で雪を踏む音に目を覚ます。その音はだんだん大きくなり、ボクの側でピタリと止んだ。 雪を掻き分ける音がしたかと思うと、少年は何者かに持ち上げられた。 「大丈夫か!?」 うっすらと目を開けると、目の前には心優しそうな男の顔があった。ボクが生きている事を確認すると、ほっと胸を撫で下ろし、安堵に満ちた表情をした。 「おじさん……誰?」 と尋ねた。男は穏やかな表情で答えた。 「私か?私は西条 正宗………ただのおじさんさ 君の名前は?」 「…シンヤ」
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