怪盗バンパイアからの犯行予告

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教室から抜け出した3人は 長々と真っ直ぐ続く廊下を歩いて行った。 校長室に行くには, 教室の前にある廊下を右に進み, 一つ目の十字路をまた右へ。 道なりに進んで行って, 科学室と調理室の間の隙間を通って, 最後に小さい穴までたどり着いたら, 『変化魔法』で体を小さくして入る。 花梨は琴美と雅也, そして自分に小さくなる魔法をかけた。 変化魔法は花梨の得意とする魔法だ。 「ふぅ,これでみんな入れるわ。 …にしても, こんなに複雑なルートにするなんて パドリック校長ってほんと変わってるわ。」 「噂では… パドリックって裏では【違法な魔力売り】らしいぜ。 どこから輸入してんのか知らねーけど。 影で魔法警察を支配してるらしい… 元が性格悪そうだから, 校長ってのも名ばかりで, 何か目的があるんだろうな……。 何しろ,あいつのせいで琴美達に監視がつくようになったんだ。 あまり良い反応は期待出来ねぇな。」 「なんだか怖いわね。 私,あの校長好きじゃないわっ (…校長室の前で花梨達ったら 怖いもの知らず…) パドリックは, 3年前まで元魔法警察主将だったそうよ。 そこから,前の学校校長を蹴落とし, 今の地位を獲得したって, 噂で聞いた事があるの。 とにかく,気を引き締めて行きましょう… いい?開けるわよ!!!」 花梨は目の前にある扉を両手で思いきって開けた。 双子は琴美を庇うように構えた。 辺りを満遍なく見渡してみる。 部屋には学校創立の記念碑や歴代校長の額に入った写真が飾られていた。 これといって危険なものは無さそうだ。 双子は警戒しながら, 目の前にいるパドリック校長の方を向き,一礼した。 ロココ調の作りの,いかにも高級そうなデカい椅子に, 不釣り合いなコロンと小さく膨らんだ体を, ゆらゆらと楽しそうに上下に揺らしている。 白髪は長々と伸び肩まで達しているが, てっぺんにいくにつれて髪の量はまばらになっている。 丸鼻で顎髭のこの汚らしい男が… 校長のパドリックに間違いなかった。
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