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「ん………」
目が覚め、少女はベッドからムクリと起き上がると、朝一番、大きく伸びをした。
「ふぅわあぁぁ………っ」 天窓から差し込む陽光を見つめ、今日もいい天気だなあと思っ………
グギリ
「~~~~~~っ!」
何か鈍い音が響いたかと思うと突然、身をくねくねと曲げ、悶え苦しみだした。
腕を伸ばした時、指が棚に直撃したのだ。
すると間髪入れずに、ズズズ……という音が後頭部から聞こえてきた。
少女は涙目のまま振り返るとそこには迫り来る、日記、本、めざまし時計、貯金箱――――
それはただ、一心に少女に狙いを定め………
「………い、いぃぃぃいいやあぁぁぁぁあ!?」
ドンガラガッシャアン
「きゅう~………」
第二撃は後頭部にクリーンヒット!そのまま上半身だけドテンとベッドから滑り落ちた。
「朝から何をしてるんだよ………」
頭上から声が聞こえ、涙目のまま顔を上げる。するとそこには呆れながら見下ろす少年の姿があった。
「あ、ロイドおはよ」
「おはよ。………ジェネ、それより早く起きるんだ」
「ほぇ?なんで?」
ロイドは黒髪の奥に映える銀の瞳を曇らし、ため息を吐く。
「………今日が何の日か、分かってるか?」
「あったり前じゃんっ。自警団入団審査会のある日でしょ?たしか10時から始まるんだよね。ちゃ~んと覚えてますってばっ!!」
と、ジェネがドンと胸を張って答える。それなのにロイドは心配そうな顔を崩さない。
ジェネが訝しがっていると、ロイドがもう一度問いだした。
「船の出航時刻は?」
「?8時半」
「今は?」
ジェネはベッドからいっしょに落ちためざまし時計を引っ掴み、針の示す時刻をゆっくりと読み上げた。
「え~っと、………8時……19分?」
「じゃあ8時半-8時19分は?」
「んー、830-819だから………って、もうこんな時間!?あと6分は眠れるじゃん!」
「寝るな!………ええい、とにかく早く用意してくれ!先に外で待ってるから!」
「わ、わかったっ!あたし、ガンバル!」
「………何をだ?」
外にて呟く、ロイドであった。
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