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「ジェネ、おはよう」
「あれれ?ルミエル先生じゃないですかっ。おはようございますっ!」
ジェネの目の前。そこには薄緑のショートカットに、ゆったりとしたローブをまとう女性がいた。
ルミエル先生と呼ばれた女性はジェネのあいさつにうふふと微笑んだ。
すると、きょろきょろと周りを見回し始める。
「あら、ロイド君は?」
「ロイドですか?ロイドは………あっ、来たみたいですよ」
ジェネは停泊所の入り口から走ってくる少年に気付き、ルミエルにそう言った。
まもなくしてロイドは二人のところに到着すると、まずルミエルにあいさつをした。
「ルミエル先生、おはようございます」
ルミエルはもう一度うふふと微笑む。
「おはよう。今日は試験日よね?二人とも頑張っ―――」
ピィィィィー………
出航3分前を告げる笛の音が鳴り響く。それに伴って船員らしきヒトが客に乗船を急かし始めた。
「時間みたいね………。それじゃ、頑張って。私のためにも」
「はいっ、精一杯やってきますよ!さ、ロイド、乗りましょ?」
「ん?ああ」
私のためにも………?
「じゃ、先生またねっ」
「ええ。いってらっしゃい」
ルミエルとはそれを最後に、ロイドとジェネは船内に続く階段をそそくさと駆け昇っていった。
「………ルミエル先生、なんかいつもと感じ違くないか?」
「そう?気のせいでしょ」
「こら、喋っとらんで早く乗りな」
「あ、はい。すみません」
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