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しかしヨウコの隣に、つまりユリの向かいに座った僕は、そのユリの表情にハッとした。
それは僕が今まで見てきたユリのどれよりも悲しげで苦しそうに見えた。
幾分、痩せてしまっているようにも見えたからかもしれない。
自分の弟が自分のマンションで自殺したということは、僕らには計り知れない悲しみと苦痛なのだろう。
僕がアイスコーヒーを注文した後もしばらく沈黙が続いたが、ユリはテーブルの上の空になったコーヒーカップを見つめながら、ゆっくりと話し始めた。
「ダイスケが死んだのは誰のせいでもないわ。それが運命だったということなの。」
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