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その夜私は、信じられない光景を目にした。
それは、あるBARでの出来事…
その日、接待を終えた私は、一人飲み直そうと行き着けの店のドアを空けると…
カウンターにはグラサンをはめ、厳つい顔のお兄さんが連れの女性2人と座っていた。
嫌な予感がした私は出直そうと思い、ドアを閉めようとすると…
【コラ兄ちゃんっ!!何で逃げるんじゃっ!?】
(シマッタッ!!)
もう逃げられないと覚悟した私は、咄嗟に…
『まさかぁ、帰りませんよぉ、トイレどこかなぁって思って…』
などと、誤魔化してはみたものの…
【あ~ん、便所ならこの奥じゃっ!さっさと入ってこいやっ!どアホっ!!】
(怖っ…)
と、一瞬ビビったが、仕方ない。
(1杯だけ飲んで、奴がトイレに行った隙にでも逃げよう…)
などと…作戦を考えつつ、トイレを済ませバーボンを頼んだ。
するといきなり…
【おい兄ちゃんっ、どうせ暇やろ?ワシの連れが来るまで、コイツの相手したってくれやっ!!】
『えっ…?』
(う~ん、ここは逆らえないなぁ、私は平和主義者だし…)
そう覚悟を決めた私は、仕方無く女性達の顔を見てみると…
(イヤァ~ンッ!と~ってもメタボなブサイクッちゃん!!)
思わず躊躇する私に…
【さっさと来んけぇーっ!!】
『は、はいっ、只今っ!』
こうなりゃ、ヤケクソッ!!私はメタボトトロの隣に渋々座った。その時…
《ジリリリリーンッ!!》
突然、奴の携帯がけたたましく鳴りだす。
【テメェーッ、遅いやんけぇっ!!何処におるんじゃーっ、ボケェッ!!】
(ヒェェーッ…)
【何ぃ…事件やとぉっ!?】
(えっ、事件て…?)
【ワシ、今日非番やでぇーっ!】
(非番て…?どゆ事???)
呆気にとられている私に、隣のトトロが言った。
【フフッ♪この人こう見えて刑事さんなんよ。】
(にゃ、にゃんですって~っ!?)
私の心の声が叫ぶと同時に、奴は不機嫌そうに電話を切り…
【でぶーっ!!余計な事喋るんじゃあねぇっ!!それより今日はもうお開きじゃっ、帰るでーっ!】
と、叫び、そそくさと勘定を払うと、店の前に止めてある車に乗り込み…
《ブオォーンッ!! キィキキキィーッ!!!!》
奴等は爆音だけを残して、去って行った。
(ふぅ…)
私はホッとしたのもつかの間、すぐに怒りが込み揚げてきて…
『あーっ!野郎っ、刑事のくせにもろ飲酒運転じゃんっ!!』
これで良いのかぁっ?
日本の警察ーっ!?
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