とてつもないふあん

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  高校も卒業し、早2ヶ月も過ぎた5月。   一人の青年はローカル線を乗り継ぎ乗り継ぎある田舎の村にたどり着いた。     「幸与(ユキト)村。ったしか親父とお袋の故郷だったよな。」     見渡す限りは田園風景。川が幾つか流れる中に家がポツポツとある。       海斗が暫くぼーっとしていると駅舎の方から声が聞こえて来た。         「海ちゃんやないね!覚えとる?早紀よ!」     「あ、おじさんの葬式ん時の…」     海斗の世話をしてくれていた母方の叔父は、海斗の卒業を待たずに肺癌で亡くなった。まだ35歳だった。 とても良い人ではあったのだが、如何せんヘビースモーカーだったのだ。       「あれから大変やったやろ。今日はどうしたん?こんな田舎まで」     「いや、目的があった訳じゃないんだ。ただ何となく行ったり来たりしてたらここに」     「そうなんや。なぁ、どこも行くとこないんやったらウチに寄ってき!あんたのばぁちゃんまだ元気よ!」     「でも、母さんと父さんが昔駆け落ちしたからばぁちゃんたちにはもう会えないって言っててあったこと無い」    
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