伝えたい気持ち…

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幸い生活に、支障が出る程の、重症ではなく順調な回復で2週間で退院できた。 俺は、店に行き仕事を辞めることを伝え、どうしても気になる人を、探すことにした… そう。あの時、彼女を… 名前も告げず、帰ってしまった彼女に、もう一度だけ会って、あの時に言えなかった「ありがとう。」が、どうしても言いたくて… 俺は、手がかりのないまま探し続けた… ただ、一つの手がかりは、俺の記憶。 女の顔は、一度見たら忘れない。 こんな時に、役立つとは思いもしなかったけど… 探し始めて1ヶ月… 俺は、もう諦めなくてはいけないかも… そう思っていた。 その時、ふと通りかかった公園で子供達と遊んでいる一人の女性が目に入った。 「見つけた!」 俺は急いで、彼女の所へ駆け寄った。 そんな俺に気づき、キョトンとした目で俺を見て… 「どうかしましたか?」 って、首をかしげて俺に話しかけてくれた。 俺は、慌てて「先日は、大変お世話様になりました。おかげさまで無事に、退院できました。ありがとう。」 と、あの時言え無かった言葉を言い、心から頭をさげた… そんな俺の事を思い出して「大丈夫ですか?もう痛くないですか?」と、心配してくれる君を和ませようと、俺は咄嗟にバク転して元気をアピールしようとして、着地でバランスを崩して、転がってしまった… もう笑うしかなくって、笑っていたら君は、一緒に笑ってくれた。 俺は、そのまま「どうしても、お礼がしたいので食事を、一緒にしてもらえませんか?」と、君に言った。 君は、少し考えながらも、嬉しい返事をくれた… 「はい。」 この言葉を聞くまでの緊張… 俺は、今までこんなにも緊張する瞬間と、その後の嬉しさを味わったことは、初めてだった… レストランで、食事をしながら君と会話… 君は、何を話しても俺の目を見て真剣に聞いてくれてる。 俺が、君に何かたずねれば、一生懸命に身振り手振りをしながら、話してくれた。 今まで、どんなに高級な店や、素敵な夜景を見ながらの食事もしてきたけど、こんなにも楽しく会話しながら食事をすることなど無かった… 食事が終わり、店を出て君を家まで送る車内でも、君の笑顔と会話がイッパイだった… しばらく走ると、君が 「あっ…その公園の角で…」 俺は車を止め彼女にもう一度お礼を言った。 「本当にありがとう。俺を助けてくれて…」 君は、優しい笑顔で、うなずいてくれた…少し照れながら…。 「よかったまた、会ってもらえませんか?」
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