流れるようにこちら側

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 まず君は目覚める。  そうじゃなきゃ話は進まないだろう?嬉しい事に、君はとても寝覚めが良い。君のママが買ってくれた高価な時計のアラーム機能は、しょっちゅう無言で泣いているんだ。それで続きだけど、ありがたく無いことに今日に限って君の目は、泥水がたっぷり入ったバケツみたいになっている。なんてたってスコット・ヘッドフィールドの夢を見たからさ。どうやら君は、スコットが夢に登場した事ぐらいしか覚えていないようだけど、僕は君の夢の内容を全て知っているんだな。スコットとペティ・スミスがキスをしている。君はただ黙っている事しか出来ないんだ。そしてスコットはペティ・スミスの顔面を何回も殴って、彼女はそれに笑顔で応える。もし今日の寝覚めが、もっとすっきりとしたものだったら、君は発狂していたかもね。全く一途だよ、君は。  ぱっとしない気持ちのまま、君は一階へと降りる。既に他の奴らは朝食を終えていたみたいで、テーブルに置いてあるオートミールは君の分だけだ。でも君は内心うんざりしているんだ。この寮での朝食と言ったらオートミールぐらいだからね。でも君は黙々とそれを口に運び続ける。僕に言わせれば、君は年頃の従順で内気なシャイボーイに見えるな。  けれども、胃に入れば皆同じって言う言葉通りに全て平らげた君は、まだうまく動かない体を叱りつけて制服に着替え始める。その後歯磨きをして、顔を洗い、学校指定の鞄を持って登校。出際に管理人のボブじいさんに部屋のキーを預け歩みを進める。これが君の今朝の風景さ。
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