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手を伸ばせば触れる距離
愛し愛され互いを必要とし求める
けれど俺たちの使命からは逃れることなどできない
そう、俺たちは決して交えてはいけない存在なのだから
「ティキ…俺たちはやっぱり一緒にはいられないんかな…」
「っ…ラビ…」
虚ろな瞳で上辺だけの笑みを乗せて問うキミに息が詰まった。
「俺、ティキと一緒にいたいさ。ティキといっぱいお話して、いっぱい笑いあって、これからもいっぱいいっぱい愛し合いたい…
なんで、そんな些細な幸せも望んじゃいけないんかな…?…ティキの傍に居たいだけなのに、どうしてダメなんかな…?
こんなにも近くに居るのに。どうしてこんなにも…遠くて、苦しいんさ…?ねえ、ティキ…これから俺はどうすればいい…?どうすれば一緒に居られる…っ?」
嗚咽をあげることもなく静かに涙を流すラビは酷く綺麗で痛々しく、その姿は妖艶だった。
泣き崩れそうになったラビを抱き留めてやる。それくらいしか今の俺にはしてやれないから。細く華奢な身体を強く強く抱きしめてやった。
俺たちは決して交えてはいけない存在。こんなにもお互いを求めているのに敵対するもの同士だなんて、笑えてくる。
惨苦
(つらい悲しみ)
(俺たちを認めてくれない世界なんてイラナイ)
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