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あれから1ヵ月程して切は退院した。
思っていたよりも傷は浅かったらしい。
足に軽くヒビが入ってたのが一番重症ってぐらいだった。あとは打撲とか擦り傷とか…
『切さん!』
切が看護婦と医者に挨拶をしてると後ろから声を掛けられた。
切が声のする方に振り返り手を振る。
『弥生さん!』
切の返事に弥生はニコっと笑い切の方に歩いてくる。
弥生はこの1ヵ月、ほぼ毎日の様に病院に足を運んだ。一日にいる時間は10分ぐらいで短いものの切にとっては弥生と話ができる10分は一日の楽しみであった。
『よっと』
弥生が切のところまできて切の荷物を持つ。
『先生方、切さんがお世話になりました』
荷物を持ったまま弥生はニコっと笑うと切に視線を向ける。切は弥生の視線に気付いたのか弥生を見て微笑み返すと先生たちの方を向け頭を下げた。
『お世話になりました』
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