1485人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
「よし、今日はバイトも休みだし、ちょっくら出掛けるかな…」
俺は立ち上がり、その場で大きく伸びをした。
「出掛けるって、何処に?」
「ん?
いや、せっかく奈津美に興味深い話を聞いちゃったし…ちょっと『人喰…』
…いや、"それ"について調べてみたいかなって。」
俺はおもむろに、テレビの横にある棚の上に置いてある車の鍵と煙草を手にした。
「調べるって…どうやって?」
「今のこのネット社会、調べるネタはたくさんあるさ。
奈津美も行くか?」
「私は遠慮しとく。
昨日話したじゃない、今日は友達とお買い物に行く予定が入ってるの。」
そう言って、空っぽになった皿とカップを持って台所の洗い場に向かう。
「そういや、そんな事言ってたな。
洗いもんそのままでいいから。駅まで送ってくよ。」
「そんなの駄目よ。洗い物くらいちゃんとやっておかなきゃ。」
そう言って、カチャカチャと使用済の食器を洗い始めた。
「…相変わらずの小まめちゃんだな…」
俺は玄関先で煙草を1本取り出し、火をつけた。
………ふぅ~………
マルボロの香りが、口の中に程よく広がっていく。
最初のコメントを投稿しよう!