第1章―連続殺人事件―

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「よし、今日はバイトも休みだし、ちょっくら出掛けるかな…」 俺は立ち上がり、その場で大きく伸びをした。 「出掛けるって、何処に?」 「ん? いや、せっかく奈津美に興味深い話を聞いちゃったし…ちょっと『人喰…』 …いや、"それ"について調べてみたいかなって。」 俺はおもむろに、テレビの横にある棚の上に置いてある車の鍵と煙草を手にした。 「調べるって…どうやって?」 「今のこのネット社会、調べるネタはたくさんあるさ。 奈津美も行くか?」 「私は遠慮しとく。 昨日話したじゃない、今日は友達とお買い物に行く予定が入ってるの。」 そう言って、空っぽになった皿とカップを持って台所の洗い場に向かう。 「そういや、そんな事言ってたな。 洗いもんそのままでいいから。駅まで送ってくよ。」 「そんなの駄目よ。洗い物くらいちゃんとやっておかなきゃ。」 そう言って、カチャカチャと使用済の食器を洗い始めた。 「…相変わらずの小まめちゃんだな…」 俺は玄関先で煙草を1本取り出し、火をつけた。 ………ふぅ~……… マルボロの香りが、口の中に程よく広がっていく。
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