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そんな話をしている内に駅に到着した。駅前は、平日の9時過ぎという事もあり、多少落ち着いていた。
「…あ、いた!!」
奈津美が声をあげたので、駅前の駐車スペースに車を停めると、ひとりの女性が車に近付いて来て、助手席側の外からペコリと頭を下げる。
すると、奈津美は車の窓を開けた。
「お待たせ、瑠奈。」
奈津美は女性に声を掛けた。
「悠紀さん、おはようございます。」
「おはよ、瑠奈ちゃん。」
綺麗に染まった長い金髪、そして妙に大人びている彼女は、高橋 瑠奈(たかはし るな)。奈津美の高校時代の同級生だ。
「もぉ、また悠紀さんに頼っちゃってぇ…」
「悠紀が"自分から"送るって言ってくれたの!!」
「…ん?
…あぁ、そういう事にしておく。」
そんな他愛ない言葉を交わしながら、奈津美は車を降りた。
「悠紀さん、このまま帰っちゃうんですか?」
「いや、ちょっと調べ物をしに行こうかなと…
ほら、"あれ"の事だよ。この辺の人が口にしたがらないっていう…」
「………え…?」
その事を聞いて、瑠奈ちゃんの表情が強張った。
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