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「…ちょっと、奈津美…
…まさか悠紀さんに話したの…?」
「…う、うん。
でも、大丈夫だよ。小声で話してたし…」
…瑠奈ちゃんのこの反応…
本当に"あれ"は、ここでは相当な存在なんだと感じた。
「…悠紀さん、興味本意であまり深入りしない方がいいですよ…」
「…あ、あぁ。
ありがとう、気をつけるよ。」
瑠奈ちゃんが厳しい顔で俺にそう告げると、瞬時に表情が変化した。
「…なんてね♪
どうせ資料とか何もないから、調べてもわからないと思いますよ…?」
そう言って、奈津美と顔を見合わせて笑っていた。
「あはは、そうよね。
…じゃあ悠紀、行ってくるね。」
「あぁ。行ってらっしゃい。」
ふたりは楽しそうにはしゃぎながら、駅の入口に向かって行った。
ふたりを見送ってから、再び車を走らせる。暫くすると、先程の瑠奈ちゃんの顔が頭に浮かんだ。
「…この地域に言い伝えられている『人喰い』…
どんな存在かは見当も付かないけど…そんなにヤバイ存在なのか…?」
少し嫌な予感がしたが、逆にそこまで恐れられている"奴"に興味も沸いていた。
「調べる価値は…充分ある…」
俺はそのまま、目的地まで車を走らせた。
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