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瑠奈ちゃんからの電話を受けたおよそ30分後、俺は都立の大学病院に到着した。
「よし、安藤行こうぜ。」
病院には、水谷も一緒について来てくれた。
ふたりは車を降り、病院内に入った。院内に入ると、待合室の椅子に力無く座っている瑠奈ちゃんを見付けた。
「…瑠奈…ちゃん…?」
俺は肩をポンと叩き、優しく声を掛けた。それに反応して、彼女はゆっくりとこちらを振り返る。
彼女は左頬と左腕を怪我しているようだった。
「…悠紀さん…
…私…
…私…」
必死に涙を堪えている表情の彼女を見て、今度は腰を落として、頭を撫でるように手を添えた。
「…大丈夫だから…
…瑠奈ちゃん、何があったのか話してくれる…?」
彼女は小さく頷いた。
俺と水谷も椅子に腰掛け、彼女の話を聞いた。
「…今朝、悠紀さんと別れた後、電車で池袋まで行ったんです…
…そこで、奈津美とお店をいくつか見て回ってて…
…その途中、ちょっとした裏路地みたいな所を歩いていたら…」
彼女は両肩を抱え、小刻みに震え出した。
「…そしたら…
…急に…奈津美が…」
余程恐い目に遭ったのだろう、話しながら彼女は涙を流し始めた。
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