第2章―危機―

2/18
1485人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
瑠奈ちゃんからの電話を受けたおよそ30分後、俺は都立の大学病院に到着した。 「よし、安藤行こうぜ。」 病院には、水谷も一緒について来てくれた。 ふたりは車を降り、病院内に入った。院内に入ると、待合室の椅子に力無く座っている瑠奈ちゃんを見付けた。 「…瑠奈…ちゃん…?」 俺は肩をポンと叩き、優しく声を掛けた。それに反応して、彼女はゆっくりとこちらを振り返る。 彼女は左頬と左腕を怪我しているようだった。 「…悠紀さん… …私… …私…」 必死に涙を堪えている表情の彼女を見て、今度は腰を落として、頭を撫でるように手を添えた。 「…大丈夫だから… …瑠奈ちゃん、何があったのか話してくれる…?」 彼女は小さく頷いた。 俺と水谷も椅子に腰掛け、彼女の話を聞いた。 「…今朝、悠紀さんと別れた後、電車で池袋まで行ったんです… …そこで、奈津美とお店をいくつか見て回ってて… …その途中、ちょっとした裏路地みたいな所を歩いていたら…」 彼女は両肩を抱え、小刻みに震え出した。 「…そしたら… …急に…奈津美が…」 余程恐い目に遭ったのだろう、話しながら彼女は涙を流し始めた。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!