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雲ひとつ無い漆黒の闇…
心を奪われるほどの綺麗な満月と無数の星達が夜空を支配している。
「…そうそう、またこの街で起こっちゃったらしいじゃん…?」
街灯で照らされた住宅街から外れた一角を、ひとりの男子高校生が携帯電話片手に歩いている。
周囲には人の姿はなく、夜道には彼の声だけが異様に響き渡っていた。
「…うん…もう『人喰い』の被害者は4人だってさ…
…それぞれ皆、身体の違う箇所を喰いちぎられているみたいだぜ…?」
何の話をしているのかは、一目瞭然だった。
『人喰い』
この街で最近、誰からも噂されている話題だった。
小中学生から主婦、それ以上の幅広い年齢層に共通して知られている『人喰い』…
但し、誰も"それ"をあからさまに発言する人はいなかった。その言葉を口にするだけで不安に襲われるからだ。
しかし今、彼はハッキリと声に出して言ってしまった…すぐ近くに"影"が存在していたとは知らずに…
「…大丈夫だって。誰もいないから…
………ん…?
…あ、ゴメン、また電話するわ。」
彼は"何か"に気付いて電話を切った。
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