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「…ちょっと…大丈夫ですか…?」
彼は、電柱の影でしゃがみ込んでいる人影を見つけて声を掛けた。
普通なら、こんな人の影すら無い夜道で何かを見かけたら、恐怖感で早足になってしまっているだろう。しかし、彼は違っていた。
「…お姉さん…!
…俺の声が聞こえてますか…!?」
彼は先程よりも大きな声で呼び掛け、うずくまっている女性らしい人物の肩に触れた。
すると、その相手も彼の手にそっと自らの手を添えた。
「…ありがとうございます…私は平気です…」
女性らしき人物は、か細い声でそう答える。
「…でも…」
更に彼女は続けた。
「…こんな私にそんなに優しく手を添えてくれるんですね…」
「…え、あ…」
別に悪い事をしているわけではないが、彼女の言葉に彼は少し動揺して手をどかそうとした。
…が、無理だった。
彼女の腕が、有り得ない力で彼の腕を掴んでいた。
「…その優しい気持ちのこもったあなたの手…
…私にちょうだい…!!」
「…ちょっ…!!?
…あんた何を…
…う…うわあぁぁぁぁ…!!」
凄まじい絶叫と鮮血が、辺りを包み込んだ…
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