1485人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
「…な…何だよ…あれ…?」
「…俺に聞くなよ…答えられないって…わかるだろ…?」
今、鼓膜に写し出されている映像が何なのか、頭で理解するのは困難だった。21年間生きてきた中で、その解答を導き出す為の知識を得ていなかったからだ。
不可解な存在を目の当たりにして、身体は恐怖により震えていた。
「…黒い…ひとつ目の…影…
…そうか…お前が奈津美や…瑠奈ちゃんを…」
「…え!!?」
そう、その黒い影の頭部と思われる部分には、ひとつだけ、こちらをじっと見つめる瞳が剥き出しになっていた。
「…じゃあ…こいつが…あの…」
水谷が言葉を続けようとした時、黒い影はゆらりと揺らいだ。そしてそのまま、ふっと消えた。
しかし次の瞬間、ソレは俺達ふたりの前に現れた。
「………!!?」
…蛇に睨まれた蛙…
まさにそんな状況だった。黒い蛇は、2匹の蛙を交互に睨んでいた。
『…カアァァァァァ…』
声なのかどうかもわからない異音と、張り詰めた空気がその場を支配していた。
…殺される…?
俺達は何もする術もなく、立ち尽くしたまま、終わりを待つしかなかった…
最初のコメントを投稿しよう!