第3章―黒き存在―

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「…な…何だよ…あれ…?」 「…俺に聞くなよ…答えられないって…わかるだろ…?」 今、鼓膜に写し出されている映像が何なのか、頭で理解するのは困難だった。21年間生きてきた中で、その解答を導き出す為の知識を得ていなかったからだ。 不可解な存在を目の当たりにして、身体は恐怖により震えていた。 「…黒い…ひとつ目の…影… …そうか…お前が奈津美や…瑠奈ちゃんを…」 「…え!!?」 そう、その黒い影の頭部と思われる部分には、ひとつだけ、こちらをじっと見つめる瞳が剥き出しになっていた。 「…じゃあ…こいつが…あの…」 水谷が言葉を続けようとした時、黒い影はゆらりと揺らいだ。そしてそのまま、ふっと消えた。 しかし次の瞬間、ソレは俺達ふたりの前に現れた。 「………!!?」 …蛇に睨まれた蛙… まさにそんな状況だった。黒い蛇は、2匹の蛙を交互に睨んでいた。 『…カアァァァァァ…』 声なのかどうかもわからない異音と、張り詰めた空気がその場を支配していた。 …殺される…? 俺達は何もする術もなく、立ち尽くしたまま、終わりを待つしかなかった…
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