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俺は、奈津美の用意してくれたトーストを1枚手に取り、口に運んだ。
「…んん…
…それにしても奇妙だよな…殺した人間の身体の一部を切り取ってくなんて…
…同じ人間のする事とは到底考えられないよ。」
「…あれ?悠紀知らないの…?」
奈津美がティーカップを手にしたまま、俺に問い掛けた。
「…?
知らない…って、何を?」
「…そっか。悠紀はここが地元じゃないから知らなくて当然か。」
勿体振った様子で、奈津美は言葉を続けた。
「実はね、この土地には昔から伝わっている話…言ってみれば、"この土地限定の都市伝説"みたいな話があるのよ。」
初耳だった。
確かに俺は大学に通う為に、近くのこの部屋を借りた。つまり、ここに来てからもう3年目になるのだが…そういう類の話は聞いた事も無かった。
「都市伝説って…どんな話なんだ…?」
好奇心を掻き立てられた。俺自身、ホラーやオカルトといったモノには興味があったからだ。
すると、奈津美はゆっくりと顔を近付けてきて呟いた。
「念を押しておくけど…この話を外でしたりしちゃ絶対に駄目だからね…?」
俺はコクリと頷いた。
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