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「…この土地にはね、『人喰い』っていう伝説の生物がいるの…」
奈津美は小声でそう告げた。
「…『人喰い』…?
それってもしかして、人を喰うから『人喰い』って言うのか…?」
普通に奈津美に聞き直してみると、奈津美は少し焦った様子で俺の口を押さえた。
「シーッ…!!
声が大きいわよ!!
この辺では、その存在の名前を口にする事もタブーになってるんだから…!!」
「…え、そうなん…?」
…だったら最初にそう言ってくれよ…(-.-;)
「でね、"それ"は自分の存在を示す為に、襲った相手の身体の一部を喰いちぎってしまうんだって。」
「…身体の一部を…喰いちぎる…」
なるほど、そういう事なら最近起きている殺人事件と酷似しているとも言える。
「…で、そいつはどんな奴なんだ…?」
「それがね…
よくわからないの。」
「何だそれ!!?
じゃあ実際にいるかどうかもわからないじゃん?」
あまりにも漠然とし過ぎていて、正直驚いた。
こういう話には、想像図的な姿が浮かび上がってきているものだと思っていたから。
「しょうがないわよ。この伝説は全て口伝いだけなんだから…
…何百年も昔からね…」
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