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どのくらい時がたったのだろう・・・
時計の音だけが響く部屋でアタシはベッドに転がっていた・・・
携帯電話が何度か鳴ったけれど、出る力も残ってなくて、ただ、ただ、時間だけが過ぎていった・・
少し開いた窓から風が入り込み、カーテンが揺れていた。アタシは、それをずっとみていた。
『爽‼‼』
誰かが駆け寄る、アツシ。退院してきた。
その時のアタシの身体には黒くなった血がこびりつき、顔は腫れ、服は破れていたらしい・・・
『・・アツ・・シ?』
『なに?病院いく?』
『・・・別れて・・
もうキライになった・・・』
その時のアツシの顔、今でも思い出せる。『無』とは、ああいうことなんだって思う。
ひとりになった。
泣いた。
傷口に涙が染みて、はじめて痛いと思った。
・・・音信不通を心配した、ダンス事務所の社長リキさんが、アタシを発見した。
『爽・・』
リキさんは、なにも聞かず、アタシを抱き締めた。
アタシは、この出来事で左目の視力を永遠に失うことになった。
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