メモリー4 Say Love... *前編*

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涼太君の背中を追いかけ あたし達は誰もいない 教室に入った。 「ここなら人いないし。 ……で? 話って?」 『…………』 ついつい勢いで 話があるって言っちゃったけど… どう切りだせばいいの? 万が一この跡が 涼太君のじゃなかったら? (……超恥ずかしい……) “もしも違ったら” を考えたあたしの羞恥心が 話を切り出すことを阻害する。 無意識に 胸元をきゅっと掴んだあたし。 それを見て涼太君は―― 口を開いた。 「そんなに胸元握って。 どうかした? ……恥ずかしいモノでも あるとか?」 『……!!』 ばっと涼太君を見上げると わざとらしい笑みを浮かべてて。 疑惑が…… 確信へと変わった。 『やっぱりこれ…… 涼太君が……』 「…………」 ふいっと目をそらす涼太君。 『……なんで!? どうしてこんなこと――』 「……どうしてって? そんなの、 つけたかったからに 決まってんだろ。」 『え……?』 それって――… 「……あ。 自惚れんなよ?」 涼太君はがしがしっと頭をかくと あたしに向き直る。 「言っとくけど 俺が遠野を好きとか―― そんなんじゃねぇから。」    
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