メモリー1 幼なじみ

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幼なじみだった結菜。 子どもの頃から一緒で―― 鈍感だった俺に 大切なコトを教えてくれた。 誰かに恋をする気持ち。 誰よりも 大切に思う気持ち。 その人のために あんなにも 必死になってる自分を知った。 時にはやきもちをやいて 時には幸せな気分になる。 そんな気持ちを 教えてくれたのは―― 他の誰でもない 結菜だったから。 「ねぇ、ご飯どこ行く?」 「どこでもいいけど…… できれば、安上がりな方が いいよなぁ。」 「うーん……。 ……あ! そうだ!!」 何かをひらめいたのか ぽんっと手を叩いたのは結菜。 「私と綾音で、 何か一緒に作ろうよ! 材料は、 私の家にある物で。 それなら0円! どうかな――」 「やめろ結菜!! 結菜はともかく、 綾音に作らせたらもう 地獄行き――…」 その瞬間、 綾音の平手打ちがとんだ。 「――…ってぇ!!」 「あたし賛成ー! それでいこ? 結菜っ。」 痛がる陸斗を背後に 綾音はにっこりと微笑む。 「はは……」 苦笑いを浮かべる皆に 俺もつられて笑った。 ――…ずっとこうやって 一緒にいられたらいい。 中学の時みたいに 誰かが遠くに行くことなく。 皆で笑えていられればいい。    
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