メモリー1 幼なじみ

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「よしっ。 じゃぁ帰ろうぜ!」 そう言って 竜也は鞄を持つ。 『……? まだ6時間目あるけど……』 「いいじゃん? 1時間くらい。 さぼろうぜ!」 『えぇっ……』 「いいね、それ!」 竜也を先頭に 俺以外の奴らがぞろぞろと 鞄を持ち始めた。 (結菜まで……。 いつのまにそんな不良に……) 「ひーろーや! 行こ!!」 ぶんぶんと結菜が 手を振る。 『……ふっ… おっけ。』 俺も同じように 鞄を持って立ち上がる。 「私、炊き込みご飯作るー! 得意なんだもん。」 そう話しながら歩く結菜の後ろを 俺はついていった。 思い出の中学の頃の写真を―― 再びポケットに入れながら。 ――また始まる。 結菜と共に過ごす高校生活。 これから何が待っているかなんて わからないけど。 俺は結菜の近くにいる。 幼なじみとして。 大切なことを 教えてくれた人として。 「宏哉! 遅いっ。早く!」 『はいはい。』 学校から出ると 透き通った秋の空が広がってた。 過去を振り返り 空を見上げたこの日は―― 高校1年。 秋となり始めた頃のこと。 ――…“幼なじみ”       ー完ー
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