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今日は、レッドが旅立つ日。
フレアスターには燦々と朝日が差し込み、海鳥達が鳴く声は、まるでレッドの旅立ちを祝うファンファーレのように聞こえた。
その港には、大勢の民衆がレッドを見送りに集まり、船の前には荷物を運ぶ大臣のギブレの姿があった。
『……本当に、皇子には毎日毎日、驚きの連続だな、全く。
成人の儀式を無事に終えたと思えば、いきなり旅立つ等とは。
こっちは息をつく暇がない』
ブツクさと文句を言いながら、荷物を運ぶギブレの前に船長が現れた。
『ギブレ殿、船はもう間もなく出航の準備が終わり次第、船を出せますが皇子は到着致しましたかな?』
船長が丁寧に挨拶すると、ギブレはそっと腕時計に顔を覗かせるように見た。
時間は既に出航10分前に差し掛かっていた。
『あっの~~~~
バカ皇子があああああああああああ~~~~~~~~~~!
また、遅刻ですかああああああ~~!!!!!』
両腕を高く上げ、大空に向けて奮起して罵声を張り上げた。
一方、レッドのいる寝室では。
『はっ!!
やばっ!!
また、寝坊した!
やいっ!イフリート!!
いるなら、なんで俺を起こしてくれねぇ~んだよ?』
寝室にある暖炉の中でくつろぎながら、薪をムシャムシャと食べているイフリートがギロっと鋭い眼光でレッドを睨みつける。
『何言ってんスか?
俺は、必死になって起こしましたよ?
初めは、スヤスヤと爆睡している皇子を起こすのは気が引けましたが、それでも体を揺らしたりしても起きないから、炎の玉を投げつけてやりましたが、それでも起きなかったので、諦めちゃいました』
ふて腐れた言い方でレッドで言うと、確かにあちこちに焼け跡があり、レッドの全身は焼け焦げていた。
……ま、何はともあれレッドは一目散に港に向かい
ギブレに、こってり絞られた後に船は予定通り出航した。
見送りに、ブレイザー王の姿が見えなかったが、誰よりレッドの身を案じてくれている事と母の熱い思いを胸に船は水の都市ウォータースターへと向かう。
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