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『はあ~あ。
やっと解放されたぁ。
あんな堅苦しいとこで愛想なんて振りまいたって何もいいことないし。
とりあえず、念願の剣も手に入ったとこで、俺は明日から旅に出させてもらうとするよ』
パーティーも終わりかけていた頃、大広間を抜け出し、一人ぼやくレッドだった。
『……なんだ?
旅って?お前、このフレアスターから出て、どこへ行くつもりなんだ?』
『ん?
その声は、イフリートか?隠れてないで、出てこいよ』
ジュポオオオッ
突然の皇子の前に姿を現したのは、小さな火の妖精イフリートであった。
『成人を迎えたと思えば、相変わらずヤンチャしてんだな。
ま、お前のことだから素直に王族としての役割を全うしようなんて考えてもいないんだろうが』
『ハハッ、当たり前だろ!
こんなとこでジッとなんか出来ない性格だし、もっとあちこち都市巡りもしたいし、俺には欲しいものがある!』
『………知ってるよ、お前の欲しいのは女だろ?
女なんてフレアスター中を探せば、うんざりするほどいるじゃないか?』
イフリートは、苦笑いしながらレッドに問いかけた。
『そうじゃない。
俺が欲しいのはメイドとか使いの者とかじゃなく、生涯を共に分かち合える女性とめぐり逢いたいんだ!
それも政略結婚とかじゃなく、自分の手で見つけに行きたい!
だからこそ、自立出来るようになるため、こうして剣を手に入れた。
都市を離れると親父がうるさいから、黙って明日一番で俺は旅立つのさ』
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