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『………お前が、生まれる前に母上は亡くなってしまったが、私がこよなく愛した妻とは初めて会ったのはウォータースターだった。
妻は、水の一族として全うに生き抜いていた。
だが、ある日を境に 一族から破門を宣告され、都市から出て行くことを余儀なくされた。
私は、そんな妻を見捨てる事が出来ず
妻をフレアスターに招待した。
だが、それすらも叶わず妻を狙う野蛮な輩共が現れた。
私は、難なく奴らを蹴散らした。
しかし、妻は奴等の頭領に捕まり、私も共に誰もいない孤島へと幽閉された。
そこから、数日間ずっと閉じ込められ続け
ようやくフレアスターの軍勢が私の救難信号を受け取り、救出され た。
残念なことに頭領を逃し、妻の身体は既に衰弱し切った上でお前を身ごもっていた。
急いで、都市に戻り お産の準備が始まった。
医者には、母体を守るか、胎児を守るかの決別の判断をしろと言われた。
あまり酷な選択に私は己の命を差し出してでも2人を守り抜きたいと思った。
そんな選択を到底出来はしないからだ。
だが、そんな私をよそに妻は
「この子を産ませて下さい。
そして、大事なフレアスターを守る立派な皇子に貴方が育て上げて下さい」
と。
そう告げて、お前を産むことを決めて妻は死力を尽くしてお前を産み
……女神のような微笑みを浮かべ、眠るように息を引き取った。
それから、妻に誓いを果たすべく
懸命にお前を育て、 やっと思いで成人の儀式を無事に成し遂げ、ここまで成長を見届けることが出来た。
私だけの思いをお前に言うのであれば、本来なら王族の一人としてフレアスターにとどまってくれる事を願うが、妻ならきっと私の思いなど聞かず レッドの願いを率直に受け止め、嫁探しの旅に賛成するに違いないと思った。
だからこそ、お前を旅立たせるのだ。
母の存在すら知らぬお前に全て信じて旅立てと言うのは、あまりに無知なことだと思うが
それでも、ほんの少しでもその思いだけは持って旅立って欲しい。
………その意味で、これをお前に託す』
そう言って、レッドに差し出したのは小さい瓶の中に砂のようなモノが入っていた。
『………これは?』
『……母上の遺骨の灰だ。
妻が亡くなる直後に
「生まれて来た息子が成人を迎えた時に 私の灰をウォータースターの 翡翠撞(ひすいどう)と呼ばれる沼に流してもらうように
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