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「あら、小人さん。こんにちは。」
「お前なんて初対面だ。誰なんだ?」
私たちは今、劇に向けての練習をしているところだ。
私はやっぱりセリフが多くて、覚えるのも大変だし、上手く演技しなきゃいけないしでプレッシャーが凄かった。
でもそんな重みも、何気に楽しんでいる。
それでも疲れるものは疲れるので、途中で休憩になった。
「舞佳ちゃーん!」
「……わぁっ!」
呼びながら私の背中を押したのは、加奈ちゃんだった。
「加奈ちゃんか。…お疲れ。」
加奈ちゃんは、笑顔で私を見つめている。
「舞佳ちゃん、すごく良かったよ。演技も上手いし、舞佳ちゃんがヒロインでよかった。」
「そうかな…ありがと。」
私はそう言うと、早足で教室を出た。
正直に言うと、私は加奈ちゃんが苦手だった。
「嫌い」じゃないけど「苦手」。
テンションがいまいち掴みづらいと思う。
まあ、誰にでもそんな人はいるだろう。
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