夜が明けるまで

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スコップを土に入れるたび、無数の団子虫が這い出してくる。 松林の中は霧が立ち込めていた。 木立の間から見える海の上の雲は暗い。 もうすぐ夕立が来るのだろう。  足元には、乳白色の塊が転がっている。表皮がじっとりと汗ばんでいた。分厚いゴムのような皮は、ところどころ、ふやけて崩れている。塊は軽い腐臭を放っていた。 僕は、これを埋めようとしている。
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