夜が明けるまで

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砂防林の中には僕らの家があった。海岸と県道の間の奥まった松林にある、コンクリートブロックの建物を、僕らは「別荘」と呼んでいる。中学生の輪仁君は、夕方にやってくる。カピバラさんはだいたい地下にいる。僕は夕方まで床に寝そべり、毎日時間を潰していた。日が暮れたら、それぞれ居間に集まってきて、お湯を沸かして夕食をとる。マグカップとか絨毯とか、生活を整えるためのものは一切無い。砂埃にまみれた床の上で、カップラーメンを食べたり、漫画を読んだり、テレビを見たりする無機質な暮らしをしていた。
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