夜が明けるまで③

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 気がつくと、地下室中がガラクタで埋まっていた。 ゴミの中から拾ってきた冷蔵庫やスーパーの冷凍什器からコンデンサーや冷却器が取り出され、冷水を流す管が巻き付いた金属パイプに繋がれている。空になった什器はホースで連結され、末端に炊飯ジャーやポットが接続してある。パイプの他にも、ケーブルやダクトが部屋を縦横無尽に走っていた。その大元を手繰ると、貯水槽に繋がっている。貯水槽の前にはボイラーが置かれ、火が焚かれていた。不思議なことに、部屋に暑苦しさはなかった。ボイラーには、小さなタンクが直結しており、金属がはじけるような音がしている。ゴム管がボイラーの換気筒の中途につけられており、その先は密閉されたガラスケースに繋がれていた。ガラスケースには管が取り付けられていた。常に低い振動音が部屋中に響いていることから、管の中で水が循環しているのだろう。いくつかあるシリコンで補修されたケースの内部は、水で満たされていた。
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