第一話 ~自由~

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公園に着いた頃には雨が先程よりも強くなっていて、路上を歩く人は一人もいなかった。 公園に入っても見渡す限り人はいない。とはいえ、雨のせいで視界が悪いのだが。 「やっぱいないよな……」 そう言いながらも少年は歩き続ける。 心の奥にある何かがそうさせていた。 すると―――― 「まさか……!」 少年は自分の目を疑った。 あの青年が昨日会った同じ場所に立っていた。 公園に設置している時計を見ているのか、顔を上げているのでまだこちらには気づいていないようだ。 少年はその光景を見ると不思議な気持ちで一杯になった。 何であいつ、こんな土砂降りの中で僕なんかを待ってるんだよ?僕が大人と約束を守るとでも思っているのか? もうすぐ約束の時間から一時間が経つ。さすがにそろそろ帰るだろう。 「……あの子、遅いなぁ」 お、やっと諦めるか。 「この雨で風邪ひかないといいけど……」 ハハ……なに……言ってんだよ…。僕なんかを心配するなんて……。 少年はこの状況に胸を締め付けられた。 僕は何を勝手に勘違いしてたんだ。馬鹿なのはあいつじゃない。 ………僕の方だったんだ……。 「やあ、遅かったね。風邪でもひいた?」 「別に…」 「そっか。なら良かった。それで答えは決まったかい?」 「うん、僕は………………」 数時間後雨は晴れ、空に大きな虹を架けた。 それは少年の心そのものだったのかもしれない。
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