第一話 ~自由~

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二人は事務所に向かう列車の中で話し合っていた。 「あの……警察が来るって本当だったんですか?」 「まさか。あの手の輩は意外と臆病なんだよ。だからあんな簡単なハッタリにもひっかかってくれたわけ」 そっか。バレなくて良かった。危うく蜂の巣になるとこだった。ま、僕がいるからすぐには手出しできなかったろうけど。 「そういえば自己紹介をまだしてないよね。俺は白霧零人。ハクレイって呼んでくれ」 「あ、はい、よろしくお願いします……ハクレイさん…」 「君の名前は?」 僕の……名前……。 「もしかして無い…?」 少年は小さく頷いた。 「別に名前なんて無くたっていいですよ……」 零人は顎に手をあて考え込んだ。 「じゃあ君の名前は雲羽霆流だ♪」 「は…?」 少年はポカンとして零人を見た。 「うん、なかなか良い名じゃないか」 雲羽……霆流……僕の名前……? 「改めてよろしく、テール♪」 零人は右手を差し伸べ、霆流はそれを握り返した。 雲羽霆流……か。 よくいきなり思いついたな、こんな名前。………ん? 白霧零人―HAKUMUREITO 並びかえると…… KUMOHATEIRU―雲羽霆流 「ハクレイさ……って寝てる…」 まさか……な…。
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