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二人は事務所に向かう列車の中で話し合っていた。
「あの……警察が来るって本当だったんですか?」
「まさか。あの手の輩は意外と臆病なんだよ。だからあんな簡単なハッタリにもひっかかってくれたわけ」
そっか。バレなくて良かった。危うく蜂の巣になるとこだった。ま、僕がいるからすぐには手出しできなかったろうけど。
「そういえば自己紹介をまだしてないよね。俺は白霧零人。ハクレイって呼んでくれ」
「あ、はい、よろしくお願いします……ハクレイさん…」
「君の名前は?」
僕の……名前……。
「もしかして無い…?」
少年は小さく頷いた。
「別に名前なんて無くたっていいですよ……」
零人は顎に手をあて考え込んだ。
「じゃあ君の名前は雲羽霆流だ♪」
「は…?」
少年はポカンとして零人を見た。
「うん、なかなか良い名じゃないか」
雲羽……霆流……僕の名前……?
「改めてよろしく、テール♪」
零人は右手を差し伸べ、霆流はそれを握り返した。
雲羽霆流……か。
よくいきなり思いついたな、こんな名前。………ん?
白霧零人―HAKUMUREITO
並びかえると……
KUMOHATEIRU―雲羽霆流
「ハクレイさ……って寝てる…」
まさか……な…。
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