第一話 ~自由~

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――AM 2:00 スリート街―― 「あっちに逃げたぞ!追え!」 はあっ、はあっ、捕まって……たまるか! 「今ならまだ許してやる!戻ってこい!」 冗談じゃない。二度とあんなところに戻るもんか。僕はもう……。 少年は狭い路地裏へと駆け込んだ。 しかし数分と走ったところで足を止める。 「嘘……だろ?」 目の前に立ちはだかっていたのは、高さ十メートルを余裕で越える大きなフェンス。 このフェンス、乗り越えられるか?……いや、駄目だ。孤児院の連中の声がすぐそこまで聞こえている。上ってる途中に見つかればそこで終わりだ。くそっ、どうすりゃいい!? 「この路地裏は捜したか?」 「いや、まだだ」 ……やばいな。このままだと時間の問題だ。 「やあ、ごくろう」 この声……… 「お、お疲れさまです!」 院長…! 院長自らおでましとは、よっぽど僕が大事なんだな。……金ヅルとしての、僕を。 「それで、あいつは見つかったか?」 「いえ、まだ見つかっておりません。今からここを捜してみるところです」 「よし、ここはワシが捜す。お前らは別のところを捜せ」 「はっ!」 耳を澄ましてみると、院長の足音が一歩、また一歩と近付いてきているのが解る。 早く逃げ道を探さないと…! だが、どんなに探してもここから抜けられそうな道は無かった。無論、今更後戻りすることも不可能である。 畜生!ここまで来て捕まるのか!やっと、抜け出せたってのに…! 僕は…また……この手で…… …ガタ……ガタ……。 ……何の音だ? 少年は音の聞こえてきた方を振り返ってみた。 「!!」
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