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――AM 9:00 ヘイル街――
その中にある一見地味なビルの二階に、風変わりな営業を一人で営んでいる事務所があった。
「日差しがあったかいね~」
青年はのほほんとした口調でそう呟く。
このところ仕事の依頼が無いので暇なのだ。だから窓の近くで日向ぼっこをしながら一日を過ごす。それは彼の趣味の一つであった。
「気持ち良い~。レスターも日向ぼっこする~?」
レスターとは青年が飼っているインコのことだ。
「レスター、返事してよ~」
だがレスターは餌を食べるのに夢中で見向きもしない。そして食べ終わった後にも声をかけてみたが、結局返事は返ってこなかった。
そのことに青年は少しムスっとして、机の上に組んだ腕の中に顔をうずめる。
「もういいよ。俺寝るか…―――」
「クルマキタゾ」
レスターが喋るのと同時に青年は立ち上がると、窓の外へ視線を向けた。
黒い車が一台ビルの前で停まり、二人の男が降りてくる。
「久々のお客さんかなぁ?」
青年は窓の側から離れ、応接用のソファに腰を掛けた。
しばらくしてドアが開く。入ってきたのはやはり先程見た二人の男だった。
青年は彼らにソファに座るよう促し、話を聞く体勢をとる。先に口を開いたのはやけに態度が偉そうな男だった。
「今日はある人探しをやってもらいたくて来た」
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