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「あまり詮索は無用ですぞ。あなたは何も気にせずこの少年を連れてくればいいのです。それなりの報酬も出しましょう」
「へぇ、いくらです?」
男は五本指を立ててこう言った。
「五十万」
その金額に青年は内心で口笛を吹く。
「これで文句はないでしょう?………ん、何がおかしいのですか?」
男は青年が含み笑いをしていることに気付き、訝しみながら問いかけた。
「ククク………それじゃあ足りないな」
「何ぃっ…!?」
男はもちろん、部下も驚きの表情を浮かべる。
「たかが人探しに五十万も出すんですよ?それでも足りないというのですか?」
青年は頷き、微笑んだ。
「ええ。この広い国でたった一人の少年を捜すには手がかりが少なすぎますね。出来ればもう少し教えてほしいものです。この子の行きそうな場所とか……逃げた理由とか」
「く…!」
男は言葉を詰まらせ、青年を睨み付ける。
「解った……百万出そう」
「院長!」
「いいんだ。あいつが帰ってくれば、そんなはした金、すぐにでも取り返せる」
部下は渋々といった様子で納得したようだ。
「それで、期日は何時にしますか?」
「そうだな……明後日だ。二日後の午後六時までにここの孤児院へそのガキを連れて来てもらおう」
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